契約書作成・レビュー

何のために契約書を作成するのか

契約書を作成する目的は、その作成する契約書によって様々ですが、私たち弁護士が作成しレビューする契約書は、多くの場合、紛争の回避が目的です。
紛争にならなければ契約書も必要ありませんが、取引当初は、良好な関係であっても不幸にして紛争となってしまうことはままあります。裁判で、常に納得できる解決が得られるのであれば、弁護士に手数料を支払って契約書を作成する必要もないかもしれません。
しかし実際には、裁判では、納得できる結論とはならないことが少なくありません。しかも裁判には少なくない費用が掛かります。
このリスクを回避するために契約書が重要となります。

契約書作成・レビューを弁護士に依頼する意義は?

契約書は、法律の知識が不十分でも、ひな型、テンプレートを使えば、それなりのものを作成することが可能です。
また企業の法務担当者として、経験を積めば、弁護士資格がなくても遜色のない契約書を作成することができるはずです。
では、契約書の作成・レビューを弁護士に依頼する意義は、あるのでしょうか?
弁護士が契約書を作成・レビューする意義は、その契約書を実際に締結した場合の紛争のリスクを把握・予測し、対策についてアドバイスできるという点にあります。
私たち弁護士は、日常的に、紛争案件や裁判等の紛争処理手続などの実務処理を担っています。そのため事前に契約書などで取り決めをしておけば紛争を回避できたことやその取り決めのポイントについて、実感しながら業務に臨んでいます。また過去の数多くの重要な判例や下級審の裁判例について把握しているだけでなく、最新の判例、裁判例についても日々、研さんしています、
そのため紛争となりやすいポイントを実践的に理解しており、契約書の具体的な規定を検討したときに、紛争のリスクを把握・予測し、対策を講じておくべきかどうかについてアドバイスすることができます。

企業間の契約をめぐる紛争の多くが、継続的契約の解消に関する紛争

企業間の契約をめぐる紛争の多くが、継続的契約の解消の際に発生します。継続的契約の場合、いわゆる自動更新条項を契約書に盛り込むことが多く、更新拒絶については、特に制限を設けないことがほとんどです。そうすると契約当事者の一方が、期間満了後、更新したくない(他方当事者の競業企業と契約を締結したい)と考えた場合、一方的に契約の更新を拒否することができるかどうかは、重要な問題となる場合があります。この問題は、契約類型や実際の契約状況によりますので一概に言えません。もし一方的に契約の更新を拒否することができるということになると、他方当事者としては、それに応じた対策を取っておく必要があるということになります。

理想的な契約書とは?

理想的な契約書は、契約当事者が読んで理解し、ビジネスを実施する上で迷うことがないようなものとなっているもので、契約上の権利義務が明らかとなっている必要があります。解釈上の疑義が残る規定が含まれる契約書は、望ましくありません。
またいくら契約当事者が理解できても、いざ紛争となったときに、契約書の実際の文言を解釈し、適用するのは、紛争の代理人となる弁護士や裁判となった際に契約書に基づき判断を下す裁判官が理解できなければ、意味をなしません。そのため第三者である、代理人弁護士や特に裁判官が理解できるような文言となっている必要があります。
契約書に専門用語、業界用語を使用する場合、文言の意義について理解できるように、定義規定を設ける必要があります。
また特に英米の企業などとの契約書をレビューする際に、やたら長文となっている場合がありますが、日本の裁判実務ではほとんど意味がありません。むしろ長文であるために、契約書そのものに齟齬があったり、契約の実態に適合していなかったりしても、契約書を締結するまでに、問題点を修正することができず、却って問題となる場合があります。契約書の文言は簡潔で、要領よくまとまっていることが理想です。

私たちが契約書の作成・レビューの際、特に心がけていること

私たちが契約書の作成・レビューの際に、上記のような理想的な契約書になるように注意しつつ、ご依頼いただいたクライアントの取引の実情に合わせた契約書となるよう、心がけています。
そのためには、まず取引の実情を理解する必要があります。私たちは法律の知識、経験だけではなく、各業界の動向にアンテナを張り、キャッチアップするよう心がけています。また実際にご依頼を受けた際に、取引の背景も含めて丁寧にヒアリングし、かつ想像力を働かせて取引の実務を理解するよう努めています。
誤字脱字や表記の不統一、その他の形式面は、AIに任せられるようになりつつありますが、取引の実情を把握し、リスクについて予測し、対策を検討するには、今後も弁護士が果たすべき役割は、重要であると思います。

契約書の作成・レビュー費用
当事務所で、契約書の作成・レビューのご依頼を受ける場合の費用についてご説明します。定額制とタイムチャージ制があります。当事務所では、顧問契約となっているクライアント様には、顧問料の範囲内で、基本的な契約書の作成・レビュー業務を行っています。