示談書(合意書)書き方のポイント

示談書(合意書)書き方のポイントを解説します。

示談書とは

「示談」とは、民事上の紛争について裁判外で当事者間に成立した和解契約のことをいう、とされてます(コトバンク(日本大百科全書))。

とすると示談書は、そのような和解の内容を記載した書面ということになります。

交通事故やその他の事故、あるいは刑事事件となるような事案について、加害者と被害者との間で、損賠賠償などについて取り決める書面という位置づけだと思います。また不貞行為による慰謝料の支払いについて示談書を交わすということもあると思います。

示談書作成の目的

示談書は、被害者側としては、損害賠償金の支払方法について取り決めるという目的がありますし、加害者側としては示談書で取り決めた損害賠償金を支払えば、それ以上の金銭の請求やそれ以外の要求をされたとしても法律上、拒否できるようにするという目的があります。また刑事事件となっている事案や刑事事件になりそうな事案については、示談書を取り交わすことによって、刑事罰を回避する目的、あるいは刑事罰を軽くしてもらうという目的があります。

このように示談書を作成する目的は、事案によって異なります。示談書の作成に当たっては目的を意識して、目的達成に必要な条項が満たされているか、目的に応じた表現となっているかを検討するとよいです。

示談書の書き方のポイント

前置きはこの程度にして、以下、書き方のポイントについて説明します。

なお基本的なテンプレートについては、こちらよりダウンロードできます。

表題(タイトル)

「示談書」または「合意書」などとしてください。
私は、「合意書」とすることが多いですが、「示談書」でも、「和解書」「和解契約書」でも良いと思います。

前文

前文はなくても問題ありませんが、通常、前文で対象の事案内容を特定するための事項を記載します。

文例(暴行事件の例)

〇〇〇〇(以下「甲」という)、及び✕✕✕✕(以下「乙」という)は、下記の事件に関して、本日、以下の通り合意する。
         記
発生日時 令和〇〇年〇月〇日〇〇時〇〇分頃
発生場所 東京都〇〇区〇〇付近  
被害者  甲
加害者  乙
事件概要 甲が乙に対し乙の顔面を右手拳等で数回殴打した

事案内容を特定するために、何を記載するかについてですが、

  • 発生日時
  • 発生場所
  • 当事者
  • 事件概要

などを記載するのが通常です。

文例(一文で表現する場合/傷害事件の例)

〇〇〇〇(以下「甲」という)、及び✕✕✕✕(以下「乙」という)は、乙が、令和〇〇年〇〇月〇〇日、午後〇時〇〇分ころから同日午後〇〇時〇〇分ころまでの間、東京都〇〇市〇〇町の〇〇方居室内において、甲に対し、暴行を加え、よって、同人に全治まで約〇〇週間を要する〇〇骨折、〇〇打撲*の傷害を負わせた事件(以下、「本件」という。)に関し、協議の上合意に達したので、本合意書を作成する。

*診断書等で傷害の具体的内容を記載します。

支払義務の確認条項

文例

1 乙は甲に対して本件に基づく損害賠償金として、金〇〇万円の支払義務があることを認める。

具体的な金額を特定するのが通常です。
たとえば、「甲に生じた損害を賠償する義務があることを認める。」との規定では、総額いくら支払えば、良いか分かりませんので、最終的な解決のために示談書を作成する場合は、金額を特定する必要があります。

なお「第〇条」でも「第〇項」でも問題ありません。文例のように数字だけでも問題ありません。

支払方法に関する条項

文例(一括払いの例)

2 乙は甲に対し令和〇年〇月〇日までに前項の金員を〇〇〇〇名義の〇〇銀行〇〇支店の普通預金口座(口座番号〇〇〇〇〇〇〇)に振り込む方法により支払う。振込手数料は乙の負担とする。

上記の文例のように振込送金により支払う場合、支払期限を決めるのが通常です。
上記の文例では、「令和〇年〇月〇日までに」としていますが、「令和〇年〇月〇日限り」となっている場合も同じ意味です。
なお期限前に支払うこともできます。

上記の文例は銀行への振り込みによる方法(一括払い)での支払の例ですが、現金授受でも問題ありません。

文例(現金の授受)

2 甲及び乙は、乙が甲に対し、本日、前項の金員を全額支払い、甲はこれを受領したことを確認する。

文例(分割払い1)

2 乙は甲に対し前項の金員を令和〇年〇月〇日より毎月末日限り金10万円ずつ分割して、〇〇〇〇名義の〇〇銀行〇〇支店の普通預金口座(口座番号〇〇〇〇〇〇〇)に振り込む方法により支払う。振込手数料は乙の負担とする。

文例(分割払い2)

2 乙は甲に対し前項の金員を次の通り分割して、〇〇〇〇名義の〇〇銀行〇〇支店の普通預金口座(口座番号〇〇〇〇〇〇〇)に振り込む方法により支払う。振込手数料は乙の負担とする。
令和〇年〇月〇日限り 金20万円
令和〇年〇月より〇月まで毎月末日限り 金5万円ずつ(計6回)

遅延損害金に関する条項

文例(一括払いの場合)

3 乙が前項の期限までに第1項の金額全額の支払いを怠った場合は、乙は甲に対し第1項の金額から支払済みの金額を控除した残額に対する年3%の割合による遅延損害金を付して支払うものとする。

文例(分割払いの場合)

3 乙が前項の分割金の支払を怠り、その金額が〇〇万円*に達したときは当然に期限の利益を失う。
4 前項により乙が期限の利益を失ったときは、または最終支払期限までに第1項の金額全額を支払わなかったときは、乙は第1項の金額から既払金の額を控除した残額及びこれに対する年3%の割合による遅延損害金を直ちに支払う。
*通常2か月分

刑事事件の文例

刑事事件となっている事案や刑事事件になりそうな事案については、示談書を取り交わすことによって、刑事罰を回避する目的や刑事罰を軽くしてもらうという目的があります。そのため損害賠償金を支払った場合は、違法行為について被害者が加害者の犯罪行為を許すという趣旨の条項を入れます。

文例(宥恕条項)

乙が前項の支払期限までに第1項の金員全額を支払ったときは、甲は、本件について乙を宥恕し、処罰を望まないものとする。

宥恕(ゆうじょ)は、許すという意味です。「宥恕し」ではなく「許し」としても良いです。

文例(謝罪文言等)

乙は、本件における事実関係を認め、本件に関し甲に謝罪するとともに、今後二度と同様の事件を起こさないことを誓約する。

文例(被害届取下げ文言等)

4.甲は、本件に関し乙を許すこととし、被害届を取り下げる。甲は、前項の金額の入金を確認した後、本件について乙を宥恕する旨の検察官宛ての上申書に署名捺印し、乙に交付する。

文例(告訴取下げ文言)

3.乙が前項の規定に従って第2項の金員を全額支払ったときは、甲は、本件に関し乙を許すこととし、告訴を取り下げる。

清算条項

示談書で取り決めたこと以外には、お互いに相手方に対して何かを求める権利がないことを確認する条項です。
特に加害者側にとって最も重要な条項と言えると思います。

文例1

甲及び乙は、甲乙間には本件に関し、本合意書に定めるもののほかに何らの債権債務のないことを相互に確認する。

文例2

甲及び乙は、甲乙間には、本合意書に定めるもののほかに何らの債権債務のないことを相互に確認する。

文例1と文例2のどこが違うか分かるでしょうか。
違う点は、「本件に関し」との文言があるかないかという点だけです。

「本件に関し」との文言を入れた場合は、示談の対象とした事件、事故に関係のない債権債務は、清算されないということになります。

文例全体(暴行事件、一括払い)

          合 意 書

〇〇〇〇(以下「甲」という)、及び✕✕✕✕(以下「乙」という)は、下記の事件に関して、本日、以下の通り合意する。本合意書正本は2通作成し、甲乙各自1通ずつ保持するものとする。
            記
発生日時 令和〇〇年〇月〇日〇〇時〇〇分頃
                  
発生場所 東京都〇〇区〇〇付近
被害者  甲
加害者  乙
事件概要 甲が乙に対し乙の顔面を右手拳等で数回殴打した

             
1 乙は甲に対して本件に基づく損害賠償金として、金〇〇万円の支払義務があることを認める。

2 乙は甲に対し令和〇年〇月〇日までに前項の金員を〇〇〇〇名義の〇〇銀行〇〇支店の普通預金口座(口座番号〇〇〇〇〇〇〇)に振り込む方法により支払う。振込手数料は乙の負担とする。

3 乙が前項の期限までに第1項の金額全額の支払いを怠った場合は、乙は甲に対し第1項の金額から支払済みの金額を控除した残額に対する年3%の割合による遅延損害金を付して支払うものとする。

4 甲及び乙は、甲乙間には本件に関し、本合意書に定めるもののほかに何らの債権債務がないことを相互に確認する。

令和〇年〇月〇日

(甲)


(乙)

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